今年は3ヶ月以上、雨がほとんど降らない厳しく乾燥した春を迎えました。
でもティーツリーの花は何もなかったかのように、例年通り枝先に白い花をたくさん咲かせています。
厳しい自然環境で牧場の牧草が茶色く枯れてしまっているような環境でも、オーストラリア原産のティーツリーの生育には全く影響がありません。
エッセンシャルオイルによるスチロール樹脂の溶解・腐食実験
一部のエッセンシャルオイルはスチロール系の樹脂(プラスチック)に対して、とても強い影響を与えることが知られています。そのため、こうした作用の強いエッセンシャルオイルをスチロール製の容器に保管した場合、容器が溶解したり、割れてしまったりする場合があります。
今回は発泡スチロールのキューブに対して、ティーツリー、ラベンダー、ペパーミント、オレンジの4種類のオイルをそれぞれ5滴滴下し、その経過を観察する実験を行いました。
【滴下前の様子】
並び順は以下の通り
上段 ティーツリー ・ ラベンダー
下段 ペパーミント ・ オレンジ
【滴下して10分後の様子】
リモネンの作用により激しく樹脂を腐食することで知られているのが柑橘系のエッセンシャルオイル。右下のオレンジが今回、これに該当します。
予想通りに激しい腐食を確認できますが、ティーツリーやラベンダーもこれに次いで激しい腐食・溶解作用があることが確認できました。
ペパーミントではほとんど変化は見られません。
【滴下して90分後の様子】
画像を撮影したのは90分後ですが、実際には60分後で既にこれと変わらない状態になっていました。
ティーツリーはオレンジと同じようにスチロール樹脂を激しく腐食・溶解しています。
ラベンダーは少し異なり、よく観察すると溶解させると同時に玉状の樹脂の結合部分をほぐして、キューブをバラバラにしていく様子が確認できました。
以前にスチロール製の容器にラベンダーオイルを入れた際、突然割れてしまったケースを紹介しましたが、この作用に関係しているのかもしれません。
ペパーミントでは僅かな溶解が見られましたが、ほとんど影響を与えませんでした。
【実験のまとめ】
全てのエッセンシャルオイルがスチロール系の樹脂に対して強い影響を与えるわけではありませんが、オイルの種類によっては激しい腐食と溶解作用があることが確認できます。
エッセンシャルオイル、そしてこれらから作ったブレンドオイルや希釈オイルなど様々なものを保管する際には、その容器の材質、そしてキャップの材質を確認することが重要です。
ティーツリー・抗菌エクストラクトの強力抗カビ効果・12週間後の結果が驚異的!
パンに生えるカビを使った、ティーツリー・抗菌エクストラクトの抗菌力の確認実験。
前回の記事(3週目)の後、さらに9週間(合計で12週間)放置した結果が驚異的でしたのでご紹介します。
まずは、コットンのみを封入して抗菌エクストラクトを入れなかった容器の画像
パンの上表面だけでなく、側面、裏面ともカビだらけ。
予想通りの結果です。
次にティーツリー・抗菌エクストラクトを10滴(0.50ml)落としたコットンを封入した容器の画像。
もちろんカビは全く生えていません。これだけの高濃度のオイルを封入したのですから、正直なところ予想通り。
ですから、この結果にはあまり驚きはありませんね。
そしてティーツリー・抗菌エクストラクトをわずか1滴(0.05ml)だけ落としたコットンを封入した容器の画像が以下のもの。
カビの発生は表面、側面、そして裏面にも全くありません。
わずか1滴のオイルで、これほどに強力な抗菌・抗カビ効果が確認できたということで、想像を上回るものでした。
もしカビでお悩みでしたら、ティーツリー・抗菌エクストラクトがお役に立つのではないでしょうか。
ボウフラ退治に水溶性のティーツリーオイルを活用する
蚊対策の基本といえばボウフラ退治。お庭やベランダの水たまりにいるボウフラを退治することで蚊の発生を抑えてコントロールする方法です。
小さな容器の中であれば、ひっくり返して水を出せば退治は完了しますが、側溝の中の水たまりや、動かせなものの中に溜まった水に湧いたボウフラ退治には水溶性のティーツリーオイルが効果的。『水でうすめてつかえるティーツリーオイル』なら、バケツ1杯分(約5リットル)程度の量の水に対してキャップ1〜2杯加えれば十分な駆除効果が期待できます。
ティーツリーオイルをお持ちなら、エタノールなどを利用して乳化(水に溶解)させたものを利用する方法も。
ちなみに乳化していないピュアオイルをそのまま加えた場合、オイルは水面に浮遊します。そのため過去の実験では、オイルを加えた後に水をかき混ぜてオイルを撹拌することでボウフラ退治により早く効果を発揮するようです。
ディフューザーを使ってお部屋の暑さ対策&虫除けアロマ
まだ暑さが残る秋。蚊も多い季節ですから、暑さ対策を兼ねてお部屋の虫よけアロマはいかがでしょう?
今回活用するのはペパーミント。このオイルに多量に含まれる成分「メントール」はスッとする清涼感のある成分です。ディフューザーを使って拡散すれば、そのミストからスッとした涼しさが感じられます。そしてこのメントール、蚊が嫌う成分でもあります。
お部屋に拡散することで蚊が入って来なくなる・・・網戸が破れて連日連夜侵入してくる蚊に困っていた豪州人のとあるご夫妻からも、ペパーミントオイルを寝室で使用することでゆっくり眠れるようになった、とお礼のご連絡をいただきました。窓を開けている空間の虫よけの場合はエッセンシャルオイルをすこし多めに加えるのがコツ。
ペパーミントオイルに、こちらも蚊が嫌うことで知られるシトロネラールという成分が含まれるレモンティーツリーオイルを半々の割合でブレンドすれば、その香りは爽やかなレモンミントに。さらにもう少し効果を高めたい、という時には香りはすこしスパイシーですが、シトロネラールをたっぷり含んだレモンユーカリオイルとのブレンドも選択肢ですね。
アロマの虫除け機能を使って、お部屋を爽やかに虫除けしましょう!
ラベンダーと抗菌エクストラクトのブレンドでオススメの寝室アロマ
リラックスと睡眠導入効果で知られるのがラベンダーの香り。特にリナロールを豊富に含むオーストラリア・タスマニア産のラベンダーオイルは強いフローラル感があり、華やかな香りが楽しめます。
ここにブレンドをオススメするのがティーツリー・抗菌エクストラクト。強力な抗菌成分をたっぷり含んでいる一方で、微香性の香りですから、ラベンダーの香りを遮ることなく、リスペクトしてくれます。
オススメはラベンダー7に対して抗菌エクストラクト3の割合。このブレンドは一般的なティーツリーと同程度の抗菌成分の含有量になります。
このブレンドを就寝時、画像の無印良品さんのお店などで購入できる、超音波式のディフューザー(特にメーカーや機種は問いませんが、噴霧量が多めの機器がオススメ)でお部屋に拡散しましょう。ラベンダーの香りとともに抗菌エクストラクトの成分による風邪予防が期待できますね。
今年の秋・冬はタスマニアンラベンダーとティーツリー・抗菌エクストラクトのブレンドでリラックス&風邪・インフル予防してみませんか?
10%濃度のオイル それは重量比?それとも容積比?
今回は少し細かいお話です。
ティーツリーオイルの濃度が10%と書かれた商品があると仮定しましょう。
オーストラリアで販売されているこのような商品にはラベルに
1.ティーツリーの含有量 10ml/100ml
2.ティーツリーの含有量 10mg/100mg
といった記載がされているのが一般的です。
この2つ、その意味が違うことがお分かりでしょうか?
そう、1は容積比で2は重量比です。オイルは比重(水を1として)が軽いため、1と2では混合バランスが異なってくるのです。ちなみにティーツリーオイルの比重は0.89ほどになりますので、1の場合には100mlあたり10mlのティーツリーオイルが入っていますが、2の場合には約11.2ml入っていることになります。
一見、同じように見えて、実はその中身・バランスにはこうした違いがあるのです。
比重を理解して、もし、1キログラム入りのティーツリーオイルと1,000ml入りのティーツリーオイルが同じ価格で売られていたなら、1キログラム入り(約1,100ml入っている)を選んだほうがお得だということもご理解いただけることでしょう。
より正確な計量なら滴下数のカウントを止めてスポイトを使いましょう
エッセンシャルオイルを計量する場合、一般的にドロッパーからの滴下数を数えているかと思います。
1滴あたり、0.05mlというのが標準とされていますが(これは摂氏20度の状況で水の1滴の量を基準としておおよそ推測される量です)、実際にはオイルの粘性やドロッパーの種類、そして個々の仕上がりにより、かなりの誤差があります。加えて、長い間使用しているとオイルの成分による劣化で流量が大きくなったり、逆に詰まりが起きて流量が減ったりすることも。(ですから、ドロッパーの再利用はオススメしません)。
2,3滴の利用であればあまり影響はないのですが、1mlを超える量(20滴前後)を計量するとなると、その誤差は大きくなる可能性がありますので、滴下数のカウントだけで計量することは好ましいものではありません。
オススメはスポイトの利用。使い捨てスポイト(ディスポーザブルスポイト)という、ビニール製のスポイトがありますので、これを利用すると容易に、より正確な計量が可能になります。使い捨てとは言っても、数回であれば再利用も可能。
大きな量でブレンドを作ったり、ルームスプレー等を自作をする場合や、同じ香りを毎回、より正確に再現したい場合にはスポイトを利用しましょう。
ティーツリーオイルは品質に関わりなく「服用できません」
時々、いただくご質問に「(ティーツリーファームズの)ティーツリーオイルは服用に使えますか?」というものがあります。もちろん「服用できません」。
様々な方法でティーツリーオイルを活用しているオーストラリアでも、オイルを服用で使用することはありません。
ちなみにオーストラリア国内で販売されるティーツリーオイルには誤飲を防止するための特殊なキャップが装着されています。つまり多量に飲むと人体に危険なのです。
知人の救急医によると、まれに誤飲により病院に運ばれてくるケースがあるとのこと。彼女の患者では命に関わるような深刻なケースはありませんが、強力な成分で体内の悪玉菌・善玉菌を問わず、体に必要なこれらの菌のバランスが滅茶苦茶になってしまいますので、体調の回復には時間がかかるとのこと。
「服用できません」と回答すると、「服用で使える品質ではない(=品質が悪い)」と大きく誤解され、大変悔しい思いをするのですが、そもそも『服用で使えるほどに高品質なティーツリーオイル』などというものは存在しません。
優れた抗菌効果を持つティーツリーオイルですから、安全に活用していただきたいと思います。
機能性アロマは「エッセンシャルオイルの成分構成」を意識してブレンドを考えるのが大切
エッセンシャルオイルのブレンド。香りを楽しむだけのブレンドであればあまり難しく考える必要はないのですが、たとえば抗菌など、香り以外の用途を目的とした場合はその成分構成を意識する必要が出てきます。
具体的な例として、抗菌効果のあるAという成分を多く含んだ精油Bと、同じくAを多く含んだ他の精油Cをブレンドした場合。結局、そのブレンドにはAの含有量ばかりが高まります。ブレンド前の精油Bに既にAという成分が十分に含有されていた場合には、同一成分の「オーバードース
(過剰)」状態になるだけで、よほど希釈して使用しない限り抗菌目的として精油Cとのブレンドにはあまり意味がありません。
つまり成分Aによる抗菌を目的としたブレンドとして考えるなら、無意味なブレンドになってしまいます(それぞれの精油に含有されるその他の成分を無視した場合です)。
一方で抗菌効果のあるAという成分を多く含んだ精油Bと、ZというAとは全く異なる抗菌成分を多く含んだYというオイルをブレンドした場合、AとZの間では補完関係が生まれ、抗菌効果をより高められる可能性があります。
この例としてはティーツリーオイルとマヌカオイルや、ティーツリーオイルとラベンダーオイルなどの関係が挙げられるでしょう。
虫よけなら、メントールという成分を軸としたペパーミントオイルとシトロネラールという成分を軸としたレモンユーカリオイルの関係なども同じですね。
香りを楽しむアロマから、エッセンシャルオイルが持つ機能を活用するアロマへ。少し難しくなりますが、オイルの活用の幅がグッと広がりますから、ぜひ挑戦してみてください。