「これは俺だけのエッセンシャルオイルだ!」 こんな奇妙な主張から始まるエッセンシャルオイル生産者同士の抗争。実は業界内では色々なオイルでしばしば耳にする話です。
ここで奇妙と書いたのはほとんどの場合で、そもそも独占的な権利としての「俺だけのオイル」なるものが存在していないから。たとえるなら「吉野家」さんが「すき家」さんの牛丼をニセモノだと主張するようなものです。宇治のお茶が本物なら静岡のお茶はニセモノでしょうか? というように、少し考えれば誰でもわかる単純な「虚」です。
オイルの名称に商標権が登録されている場合や、よほど特殊な製法で作られ、その製造方法で特許を取得しているならともかく(もし、そうであるなら他の生産者に対して特許を根拠に裁判による製造差し止め請求の訴訟をすべきでしょう。ちなみにオーストラリアでは特許の取得自体は極めて容易な反面、特許の侵害を訴える場合には特許保持者が特許侵害の根拠を具体的に証明しなければならないことから、特許侵害の訴訟に耐えれない実効性のない特許が多く存在しています。)、現実にはそんな実効性のある根拠もなく、多くのケースでは「他の生産者のオイルはニセモノ」だとする主張は単なる感情論に終始しています。
もちろん、こんな無意味な抗争に一般の消費者が巻きこまれる必要もありません。たとえばこんな論争に乗じて自社の商品を売りたいがためだけに、一方の当事者の主張だけを取り上げて他方の批判を繰り返して消費者の不安を煽る、そんな詐欺的で下品な販売手法を採る販売業者の嘘にも騙されないようにしたいですね。