エッセンシャルオイルの利用でスプレーが壊れる理由


エッセンシャルオイルを使って作ったミストスプレー。しかししばらく利用しているとスプレーポンプが詰まったりして、うまくミストが作れなくなることってありますよね。
この原因の多くはエッセンシャルオイルによる樹脂部品の腐食です。エッセンシャルオイルの多くは樹脂・プラスチック成分を腐食する作用があり、たとえばティーツリーファームズの商品であれば、ラベンダーティーツリーといったオイルがスチロール系の樹脂を腐食します。低温圧搾により主に果皮から抽出されたオレンジやグレープフルーツなど、リモネンという成分を多く含むエッセンシャルオイルにも激しく樹脂を腐食する作用があり、発泡スチロールにこれらのオイルを滴下すると、すぐに穴があいてしまいます。

こうしたことから、ミストスプレーポンプのメーカーでは、商品化の前に必ず使用する素材でのスプレーポンプの耐性試験を推奨しています。(こうした試験をして採用しても、時折、ロットによっては故障が多発することがありますので、悩ましいところですが。。。)

もっとも個人利用のために自作したアロマミストでは事前の耐性試験などできませんから、ある意味「一発勝負」でスプレーポンプを選択することになります。故障は、残念ながらスプレーポンプの価格とは関係なく発生していますので、選ぶ際には故障することを前提に、安価なものを選択することを勧めします。
もしくは、利用しているアロマスプレーのポンプが故障なく動くようあれば、洗浄して再利用するのもお勧めですね。

アロマで虫よけ・レモンティーツリーとペパーミントの組み合わせ


一部のエッセンシャルオイルに虫よけ効果があることはすでに広く知られています。一方で、虫よけ効果がほとんど期待できないのに、効果的だと誤解されているケースも見受けられます。
たとえば、ある会社さんの虫よけブレンド。レモンユーカリなど、虫よけ効果に優れたオイルをベースにとしている一方で、含まれる数種類のオイルは香り付けのために加えられたものであったり、効きそうなイメージを高めるため(一部のオイルは虫よけ効果がほとんどないにも関わらず、効果があるように誤解されています)に加えられているようでした。
事実、虫よけ効果に優れたエッセンシャルオイルの多くは強く個性的な香りが多いため、これらを組み合わせて心地よいブレンドを作り上げるのは至難の業です。

で、今回オススメするのは比較的相性のいい2種類のオイル、レモンティーツリーペパーミントのオイルの組み合わせです。そう、レモン&ミント。
レモンティーツリーオイルには蚊が嫌う成分シトロネラールが豊富に含まれる一方で、柑橘系の香りの源泉となるシトラールも含まれ、甘酸っぱさを感じさせるスッキリした香り。シトラールを含まないレモンユーカリでは出せない香りです。
ペパーミントは刺激的なメントールの香りが主体ですが、この成分も清涼感を感じる爽やかな香りであると同時に、実は蚊が嫌う成分ですから、虫よけに効果的。
エッセンシャルオイルのブレンドのバランスはお好みによりますが、レモンティーツリー8割に対して、ペパーミント2割が目安でしょうか。甘みを強く感じさせるオーストラリア産のペパーミントオイルであれば3割程度にまで量を増やしても良いかと思います。

このブレンドをそのままディフューザー使って拡散すれば、お部屋の虫よけとして利用できるほか、水溶化すれば虫除けスプレーが作れますし、キャリアオイルを使って希釈すれば汗に流されにくい虫よけオイルにもなりますね。

就寝時に抗菌エッセンシャルオイルを使って風邪予防を始めよう!


ティーツリーファームズが2014年に日本の医療機関と共同で行った研究では「抗菌エッセンシャルオイル・メディフレグランス」の拡散したこの年の秋〜冬、風邪の罹患数が大きく減少したことが報告されました。利用した抗菌エッセンシャルオイルにはティーツリーの抗菌成分として知られるテルピネン4オールが多く含まれています。
また、夜間にはラベンダーオイルを多く含むタイプの抗菌エッセンシャルオイルを拡散したことで睡眠状況が大きく改善されたという報告もあり、生活サイクルの改善・安定がさらにこの改善に影響している可能性もあります。

風邪予防には適度な湿度も効果的。つまりエッセンシャルオイルと共にミストを拡散する超音波式のディフューザーはベストの選択肢。特に締め切った寝室での利用は抗菌成分の拡散も容易ですから、就寝時に活用するのが良さそうですね。
ちなみにディフューザーには色々な種類がありますが、抗菌目的での利用では購入時に店頭で比較して、できるだけ噴霧されるミストの量が多い機器を選択するのがポイントです。

ニキビ対策でのティーツリーオイルの利用 改善しなかった原因は「濃度が高すぎた」から


ニキビ対策として肌に直接塗布できる・・・このように紹介されることが多いティーツリーオイルですが、強力な抗菌成分がある一方で肌へのインパクトも強いため、やはりその利用には注意が必要です。

Kさんのケース。ニキビ対策としてピュアオイルを綿棒で使用していました。1週間ほど利用していましたが、ニキビ周りの肌は赤くなり、一向に改善しません。理由は単純で、ティーツリーオイルの成分が強すぎたことでした。
Kさんは敏感肌というほどではありませんが、虫刺されやかぶれなどの症状が出やすい・・・そんな肌質でした。そのため、相談を受けた専門家はティーツリーオイルをオリーブオイルを利用して20倍に希釈することを提案。5%にまで濃度を低下させました。結果、数日でニキビも肌の赤みも同時に解消。ニキビ対策は終了となりました。

高い濃度で使用すれば、より効果が高まるように思えるティーツリーオイルですが、決してそんなに単純なものではありません。体質との整合性を考慮し、適度に希釈した上での利用が重要だということが良くわかるケースでした。

ケモタイプ違いで香りの成分も全然違うことを実感! ニアウリ リナロール・ネロリドールケモタイプ


ティーツリーの近似種になる、ニアウリの木。日本でもユーカリに似てすっきりした香りのニアウリオイルは人気がありますね。このタイプのオイル(1,8シネオールを主成分としたタイプのオイル)はニューカレドニア産が有名ですが、オーストラリアでも生産されています。
でも、オーストラリアではもう一つ、ネロリドールとリナロールという2つの成分を主として構成されたオイルが抽出される、異なったケモタイプのニアウリが生産されています。ニアウリ リナロール・ネロリドールケモタイプ(LNCT)、別名はネロリーナ(これ以外にニアウリ・ネロリドールと表記される場合もあるようです)。
ロットによって主要な2つの成分構成のバランスには大きな違いが出ますが、合計でこの2つの成分で9割前後含有され、その香りはフローラル。「普通のニアウリオイル」とは全く違った香りです。
ところでこのオイルに多く含まれるネロリドールは男性ホルモンの値を上げる効果があるという研究データもあり、「男性を元気」にしてくれる作用が期待できるのだとか。

オーストラリア国内でも生産量が限られ流通量の少ないオイルですが、最近は生産者数も減少してさらに入手が困難になってきました。一方で、「普通のニアウリ」のイメージとは全く異なる香りが楽しめ、またケモタイプによるエッセンシャルオイルの違いを学ぶという上で、とても秀でたサンプルになりますので、アロマを深く学んでいる方には是非一度試していただきたいエッセンシャルオイルですね。

ブッシュハーブとしても愛用されているアニスマートル


アニスのような、特徴的な香りを持つ「アニスマートル」。この香りに対しては好き嫌いがはっきり分かれる傾向がありますが、オーストラリアでは多くの方がリコリス菓子に親しんでいることもあって、この香りを好む方が多いですね。
この植物から抽出されたエッセンシャルオイルはその成分がアニスシードオイルに似ている一方で、樹木の枝葉から抽出されるため青臭さがなく、使いやすい香りです。また成分上、優れた鎮静効果があり、子供の癇癪をコントロールする効果も知られています。

こんなアニスマートルですが、エッセンシャルオイルだけでなく、その葉を乾燥させたドライハーブでも人気です。ハーブはブレンドされてハーブティーとして利用されることがあるほか、スパイスとして使われることも。オーストラリア原産の植物であることから、同じくオーストラリア産の植物から作られたスパイス類と混ぜ合わせて「オーストラリアン・ブッシュハーブ」として、肉料理などで利用されたりしています。ただ、まだかなりマイナーな存在ですから、オーストラリアでも全国規模の大型店では取扱がされず、個人商店規模の小さな食料品店で時折、目にすることができます。
エッセンシャルオイル、ドライハーブと共にオーストラリア国内での生産量はまだとても少ないアニスマートルですが、レモンマートルの世界的な人気を追って、ヨーロッパを中心とした今後の人気上昇が期待されているオーストラリア産農産物の期待の新人です。

マカデミアナッツオイルをアロマで使うなら、精製オイルがオススメな理由


オーストラリアでもっとも多用されているキャリアオイルといえばマカデミアナッツオイル。精製オイルされたオイルが主にマッサージオイル用として活用されています。
オーストラリアで生産されているマカデミアナッツオイルには大きく分けて2つの種類があります。1つ目は未精製のオイル、二つ目は精製オイルです。

未精製オイルはナッツを低温圧搾で絞りフィルターで濾過したもの。主な用途は食用です。この種のオイルは栄養価が高くナッツの香りが楽しめる一方で、粘性が高くべとつき感が強いことから、マッサージ用途にはあまり適しません。また酸化の影響を非常に受けやすいことから香りの劣化が早く(古いオイルが持つ独特の匂いになります)、長期保存には適しません。

一方で精製オイルは、低温圧搾で抽出されたマカデミアナッツオイルをさらに精製加工することで作られるオイルです。精製処理によりナッツの香りが抑えられ、粘性が低くなることからサラサラした仕上がりになります。栄養価は失われてしまいますが、酸化の影響を受ける成分が除去されることで長期の保存が可能になります。もちろん化粧品用として利用されるオイルはこちらの種類のオイルです。
食用としてももちろん利用可能ですが、ナッツに特徴的な味も香りも失われていますので、美味しいオイルではありませんね。

このように、これら2つの種類のマカデミアナッツオイルはその特徴が大きく異なるオイルです。アロマのキャリアオイルやマッサージオイルとして使うなら精製オイルが適しているという理由がお分かりいただけることでしょう。

ところで食用として使うなら、未精製で新鮮なマカデミアナッツオイルを探すのがポイント。ナッツの香りたっぷりのオイルに少しだけ塩味を足せば、それだけでパーフェクトなサラダドレッシングになります。

手作りの小物・クラフトを香りでデコレーション


ぬいぐるみや編みぐるみ、ペーパークラフト、小物づくり・・・家で過ごす時間が増えて、こんなクラフトを始めた方も多いのではないでしょうか?
作品の見た目には皆さん、しっかりとこだわりますが、ここに香りを加えてみませんか?
たとえばラベンダーの形をしたクラフト作品から本当にラベンダーの香りがしたり、柑橘の作品から本当にあの爽やかな柑橘の香りがしたり・・・そうすると作品がもっと素敵なものとなることでしょう。

こうしたクラフトの香り付けで活用できるのがアクアフレグランス・水溶性エッセンシャルオイルです。用意するのはお好みの香りのアクアフレグランスとペットボトル入りの飲用水、そしてスプレーや霧吹き。
水で適度の香りにまで希釈したアクアフレグランスをシュッとスプレーすれば、作品がより素敵になりますよね。
自慢のクラフト作品を香りでデコレーションしてみませんか?

新型コロナウイルス流行後のティーツリーオイル不足で起きたこと


あまりメリットがないため、業界関係者は多くを語らない・・・今回はこのテーマです。
その強力な抗菌作用で知られるティーツリーオイル。新型コロナウイルスの世界的な流行で世界中から一躍注目を集めました。特にティーツリーオイルが多く活用されている北米での注目度は高く、ウイルス予防への活用方法として様々な記事が発信されました。
ティーツリーオイルには経験的に風邪予防への効果が知られており、またインフルエンザウイルスに対する作用についても研究が行われていることから、こうした反応は予測されたことでしたが、このブームによってティーツリーオイルへの需要が急激に高まったのです。

前年(2019年)末から今年(2020年)の年初にかけて猛威を奮ったのが大規模森林火災。ティーツリーの大規模農園の多くがこの影響を受けていたことで市場全体におけるティーツリーオイルの流通量が少なめだったのですが、ここにこのブームが到来したため、ティーツリーオイル不足が発生します。主だった農園は在庫を完売し、その後の市場に流れ出てきたのはちょっと怪しいオイル。引火点検査で揮発性物質の混入が疑われる(簡単に言えばアルコールで水増しした)ようなオイルや、蒸留時の不純物が処理されていない中途半端なオイルなどなど。小規模な農園や中間業者が様々な理由で溜めていた在庫を処分する為には良い機会だったのでしょうが・・・実に様々なティーツリーオイルが一気に出回りました。

こんな混乱も4月後半頃より始まった大規模農園の生産再開で収束し、現在では再び元の安定した生産状況に戻っています。
なお、ティーツリーファームズでは全てのエッセンシャルオイル、キャリアオイルで信頼できる農園さんとの取引に加えて、独自の検査を含めて品質の確認を行い、また徹底&安定した在庫管理の下で商品をお客様にお届けしていますので、今回の影響はありませんでした。

判断材料を「香り」から「成分」にまで広げることで見える、アロマの機能と魅力


車に乗っている時を思い出してください。あなたが運転をしている時と、助手席に座っている時とでは、同じ道を走っていても車窓から見ている景色や見ているポイントって結構違っていたりしませんか?
これと同じ様にエッセンシャルオイルのブレンドを考える場合、香りだけを考えている場合と、その成分構成まで含めて考えてている場合とでは、見えてくる光景が違って、きっとブレンドの設計にも大きな違いが出てくる事でしょう。

たとえば蚊をターゲットにした虫除けブレンドを作る場合。
単純に「レモンっぽい香りが効果的」だと考えたなら、レモンマートルやレモングラスのオイルなどを選択してしまうかもしれません。しかし、これらのオイルにはコバエなどが嫌う「シトラール」は多く含まれている一方で、蚊が嫌う成分「シトロネラール」が含まれていませんから、残念ながら蚊除けとして効果的なブレンドは作ることができません。一方で、レモンユーカリレモンティーツリー、シトロネラのオイルなら蚊が嫌う「シトロネラール」を多く含有していますので、このブレンドで選択すべきなのはこれらのオイルだということを判断することができます。

このほか、ペパーミントに多く含まれる成分「メントール」にも蚊除けの効果があります。これがわかれば、同様に「メントール」を多く含む日本ハッカのオイルにも蚊除け効果が期待できることが容易に想像できることでしょう。
印象が似ていてもメントールをほとんど含まないスペアミントオイルでは直接の代替にならないことも想像できますよね。

エッセンシャルオイルを考えるとき、その香りはとても重要な要素ですが、考える幅をそのオイルに含まれるメジャーな構成成分にまで広げることで、アロマはさらに楽しく、そしてより機能的で実用的なものになると思いませんか?