ISSUE 301 2026.07.11 配信

消える一滴、目覚める植物。

肌にのせた瞬間に消えるオイルの正体から、バラの防御遺伝子を起こしたティーツリーの研究、そして毎日に取り入れる濃度1%の作り方まで。一滴の中にある働きを見つめます。

オーストラリア発 ティーツリーファームズ便り

01
The vanishing oil

肌の上から消える。
その正体は?

「オイル美容はベタつくから苦手」。そんなスキンケアの常識を覆し、美容業界でいま爆発的なシェアを拡大しているのが「バニシングオイル(消えるオイル)」です。

その正体はマカデミアナッツから抽出されたコスメティックグレードのオイル。肌にのせた瞬間、まるで魔法のように吸い込まれて消えていく抜群の浸透力が、その名の由来です。

THE KEY COMPONENT パルミトレイン酸

この驚異的な肌馴染みの秘密は、オイルに含まれる「パルミトレイン酸」にあります。人間の皮脂に酷似したこの脂肪酸は、肌のバリア機能を保つ重要な成分ですが、加齢とともに減少してしまいます。マカデミアナッツオイルはこの成分を豊富に含み、肌の乾燥を素早くケアしてくれる効果があるのです。

近年、クリーンビューティーや自然派コスメへの需要が世界的に高まる中、マカデミアナッツオイルの市場規模は年率5%以上のペースで拡大を続けています。かつてはナッツの生産者価格暴落に苦しんだ生産者たちが、余剰分を高付加価値なオイルへとシフトさせたこともあり、供給体制も一段と強化されました。

年率5%+ マカデミアナッツオイル市場規模の拡大ペース

ベタつきを残さず、内側からふっくらとしたハリを与える「消えるオイル」。単なるトレンドを超え、サステナブルで効果的な現代スキンケアの新たなスタンダードとして、確固たる地位を築いています。

02
Research / Rosa hybrida

ティーツリーが、
バラを目覚めさせる。

バラの栽培にティーツリーが役立つという、南米、コロンビアのアンティオキア大学などの研究チームが今年2月発表した論文をご紹介します。

ターゲットはバラの栽培において天敵とも言える「灰色かび病(ボトリティス・シネレア)」対策でした。通常は化学殺菌剤を散布することで対処されてきたのですが、薬剤に耐性を持つ菌が出てくることで、新たな薬剤を導入して・・・を繰り返すイタチごっこの状態になっています。

薬剤中のティーツリー濃度・推定値 0.037%

これに対して、研究チームは水溶化されたティーツリーオイルを配合した薬剤の併用を試しました。結果はティーツリーの抗菌力で・・・という予想を大きく超えるものでした。ティーツリーの成分によりバラの葉の遺伝子が活性化し、次の2つの効果が確認されたのです。

RESULT 01 「細胞壁」が強化された
RESULT 02 「脂質代謝」を上げて防御物質を作る

単なる殺菌剤としてだけではなく、植物の眠っていた防御遺伝子を目覚めさせる「バイオ刺激剤」としての効果が示されたこの研究結果は大きな関心を集めています。

なお、この研究がオーストラリアではなくコロンビアで行われたのは同国が「切り花(特にバラ)」の輸出大国だったことから。他の植物に対しても同様の効果が見られるのか、興味が尽きません。

論文名:Insights into tea tree oil-mediated transcriptome modulation in Rosa hybrida 論文を読む
03
Oil ideas for everyday life

濃度1%で、
普段使いのティーツリー。

強い抗菌効果が知られるティーツリーオイル。そのため「強さ」ばかりが意識され、それを高濃度で肌などに使うことで、発赤や湿疹などといったスキントラブルなどを引き起こして、かえって悪化させてしまうケースもしばしば耳にします。

ティーツリーオイルが主な細菌や真菌の増殖を抑えるために必要な濃度は、多くの場合1%未満です。つまり100倍に希釈しても十分な効果があるわけです。

そこで今回は普段使いのティーツリーオイルの作り方です。シンプルにキャリアオイルを使って約100倍に希釈しましょう。

100mlキャリアオイル
1mlティーツリー
= 約1%の普段使いオイル

100mlのキャリアオイルにスポイトを使って1mlのティーツリーを加えて混ぜ合わせるだけで完成です。ポイントとなるのはキャリアオイル選び。

1ヶ月程度で使い切るなら 食用のオリーブオイルなどを使っても希釈できます。
長期間の使用・保管、ベタつきを抑えたいなら コスメティックグレードのマカデミアナッツオイルやホホバオイルがオススメです。

ホホバオイルを使う場合なら、皿状の小さな容器に入れての冷蔵庫保管もオススメ。冷やされたホホバはクリーム状になるので1%濃度のティーツリークリームに早変わりです。

こうして作った1%オイルならニキビ対策や傷や虫刺され跡のケア、カンジダ対策、オーラルケアなど、様々な場面で広く活用できそうですね。

ご使用にあたって
※このコーナーはオーストラリアで一般的に利用されているオイルの使い方を紹介しているものです。体質に合わない場合、思わぬ副作用が出る場合がありますので、この情報のご利用にあたっては安全に留意し自己責任でご利用ください。ティーツリーファームズではこれによる事故・副作用などについて一切責任を負いません。
04
From Australia

編集後記

先日、オーストラリアで起きた携帯電話ネットワークの大規模障害。鉄道運行システムも携帯電話網で運用しているため、なんと電車まで止まってしまいました。

広大な国土と低い人口密度。精油をはじめとする農産物や天然素材由来の製品が大規模に生産される一方で、広大だからこそ日本とは異なる、こうした社会インフラの連鎖が意外な形で見えてきました。

お便りを送る ↗